秘書の査定2
2021年10月30日
秘書の査定2(1)
毎年、九月二十五日から一週間は社員の人事考査の面接日になっている。各部では仕事の合間に部、課長が社員を会議室に呼び出して面接し、来年度の俸給を決める。
社長・秘書室では社長の小野田が直接、秘書を面接して査定する。だから女の美貌が勝負になっている秘書たちは、この週はヘアースタイルから下着類まで小野田好みを徹底するようにしている。
その秘書たちが出勤してきた。
秘書で一番若い新海萌美が八時半に、産休明けの片山響子がその五分後に、そして山本珠代が続いてドアを開けてくる。
そして秘書室長の三枝倫子は九時ちょうどに秘書室に現れる。
「今日から人事考査の面接が始まるから、いいわね」
倫子はいかにも憂鬱な顔で秘書たちの顔色も確かめる。
秘書たちもそんなことは言われなくても知っていますという顔で、社長・秘書室の掃除を始めている。萌美は床の艶出しを、響子は観葉植物に水を差し、珠代は社長室の書類整理をしている。
そうした秘書たちの朝の仕事が終わり社長・秘書室が彼女たちの女の匂いに充たされるころになると社長の小野田がおはようとドアを開けて褐色の日焼け顔を見せてくる。
秘書たちは朝の挨拶を返し、室長の倫子がすぐに小野田のお傍に行ってカバンと背広を受け取って彼のロッカーに納める。そして朝の挨拶代わりの抱擁を受け入れる。小野田に抱き寄せられてお尻を撫でられ、日によっては女の部分も包まれて撫でられる。
小野田ハウスの秘書はセクハラ、パワハラとか世間で非難される道徳観念なんかは高額な俸給を保証されているからどこ吹く風である。
今日の小野田の抱擁は淡泊だった。
「秘書の人事考査を十時から始める。全員、応接間に集まるように」
小野田は倫子に伝言し、社長室に消えた。
倫子はその小野田の態度から何かを敏感に察知して、秘書たちに女の身嗜みを全開にして応接間に臨むようにと注意喚起した。
*****
倫子の注意喚起が効いたのか、応接間に集まった秘書たちの女の身嗜みは色気がむんむんだった。秘書の服務規程にもあるタイトスカートの裾丈はさらに数センチも短くなり、ブラウスのボタンは一つ目が外されている。
小野田は秘書たちの自分に向けられている美脚の奥の悩ましい光景をしばらく観賞してから、こう切り出した。
「今年度の経常利益は新型コロナの影響で前年度の三割ダウンになる。各部署とも人員を削減させるつもりだ。秘書も減らすかもしれない」と。
この小野田の人員削減の提案はあらかじめ室長から知らされていたからなのか、珠代も響子も萌美も一斉に、
「いやです!」
と、女の媚びた悲鳴を小野田にぶつけてきた。
実際、女好きの小野田の勢いはそれで削がれてしまったのか、
「小野田ハウスは秘書の働きがあってこそ発展してきたのであり、これからも…」と言葉も緩んでくる。
もっとも小野田には多数の応募者から選抜した秘書たちの一人も解雇するつもりはなく、年一度ぐらいは高給で気が緩んでいる秘書たちを脅かして色気を磨きあげる効果を狙っているつもりだ。
だから、
「ブラウスもブラを透けさせていないし、スカートだって脚の奥の穿きものを見せていない秘書もいる。ソファーに腰掛けたらブラジャーとパンティーは見せるようにしろ。顧客は秘書のそんな隙を見つけてこそ、この秘書と付きあいたいから仕事の契約でもするかという気にもなる」
と、秘書の服務まで立ち入って説教をする。
小野田はそれから社長室に戻って、書類を持ってくると応接間のテーブルに置いた。令和元年の秘書検定準一級の問題集だ。
「秘書としての教養の問題を出すから答えて欲しい。政治から…」
小野田がそう言うと、秘書たちは小さな声ではいと返事をする。
「先進国首脳会議G7の国は、珠代くん」
小野田は珠代を見つめる。
珠代ははいと返事をして答えていく。
「日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、…」
と、そこまで口にしてから視線を下げて、黙り込む。
「響子くん」
「はい…」
響子も答えられない。
「室長は」
倫子はイタリアと答えるが、残りの一か国が想い出せない。
「萌美くんは」
小野田は一流商社の元社員で秘書検定準一級の資格を持っている萌美を最後に指名する。
「カナダです」
萌美は即座に答える。
小野田はここで萌美を褒めたいところだが、そうはいかない事情がある。担当している京葉電鉄の開発部長の五島輝彦の愛人になっている噂があるからだ。
秘書として最も心得ておきたいのは顧客先の幹部に愛人に誘われることだ。男としては仕事で口説き落とすよりも、金を握らせて愛人にした方がいつでも好きなように抱ける。
請負側としては担当の秘書を愛人にされると工事が会社まで下りてこなくなるから絶対に避けたいところだ。ところがその愛人に萌美がなっているらしいのだ。
小野田は萌美が答えたところで、他の学科を数問、出題してから社長室での個人面談にした。
社長・秘書室では社長の小野田が直接、秘書を面接して査定する。だから女の美貌が勝負になっている秘書たちは、この週はヘアースタイルから下着類まで小野田好みを徹底するようにしている。
その秘書たちが出勤してきた。
秘書で一番若い新海萌美が八時半に、産休明けの片山響子がその五分後に、そして山本珠代が続いてドアを開けてくる。
そして秘書室長の三枝倫子は九時ちょうどに秘書室に現れる。
「今日から人事考査の面接が始まるから、いいわね」
倫子はいかにも憂鬱な顔で秘書たちの顔色も確かめる。
秘書たちもそんなことは言われなくても知っていますという顔で、社長・秘書室の掃除を始めている。萌美は床の艶出しを、響子は観葉植物に水を差し、珠代は社長室の書類整理をしている。
そうした秘書たちの朝の仕事が終わり社長・秘書室が彼女たちの女の匂いに充たされるころになると社長の小野田がおはようとドアを開けて褐色の日焼け顔を見せてくる。
秘書たちは朝の挨拶を返し、室長の倫子がすぐに小野田のお傍に行ってカバンと背広を受け取って彼のロッカーに納める。そして朝の挨拶代わりの抱擁を受け入れる。小野田に抱き寄せられてお尻を撫でられ、日によっては女の部分も包まれて撫でられる。
小野田ハウスの秘書はセクハラ、パワハラとか世間で非難される道徳観念なんかは高額な俸給を保証されているからどこ吹く風である。
今日の小野田の抱擁は淡泊だった。
「秘書の人事考査を十時から始める。全員、応接間に集まるように」
小野田は倫子に伝言し、社長室に消えた。
倫子はその小野田の態度から何かを敏感に察知して、秘書たちに女の身嗜みを全開にして応接間に臨むようにと注意喚起した。
*****
倫子の注意喚起が効いたのか、応接間に集まった秘書たちの女の身嗜みは色気がむんむんだった。秘書の服務規程にもあるタイトスカートの裾丈はさらに数センチも短くなり、ブラウスのボタンは一つ目が外されている。
小野田は秘書たちの自分に向けられている美脚の奥の悩ましい光景をしばらく観賞してから、こう切り出した。
「今年度の経常利益は新型コロナの影響で前年度の三割ダウンになる。各部署とも人員を削減させるつもりだ。秘書も減らすかもしれない」と。
この小野田の人員削減の提案はあらかじめ室長から知らされていたからなのか、珠代も響子も萌美も一斉に、
「いやです!」
と、女の媚びた悲鳴を小野田にぶつけてきた。
実際、女好きの小野田の勢いはそれで削がれてしまったのか、
「小野田ハウスは秘書の働きがあってこそ発展してきたのであり、これからも…」と言葉も緩んでくる。
もっとも小野田には多数の応募者から選抜した秘書たちの一人も解雇するつもりはなく、年一度ぐらいは高給で気が緩んでいる秘書たちを脅かして色気を磨きあげる効果を狙っているつもりだ。
だから、
「ブラウスもブラを透けさせていないし、スカートだって脚の奥の穿きものを見せていない秘書もいる。ソファーに腰掛けたらブラジャーとパンティーは見せるようにしろ。顧客は秘書のそんな隙を見つけてこそ、この秘書と付きあいたいから仕事の契約でもするかという気にもなる」
と、秘書の服務まで立ち入って説教をする。
小野田はそれから社長室に戻って、書類を持ってくると応接間のテーブルに置いた。令和元年の秘書検定準一級の問題集だ。
「秘書としての教養の問題を出すから答えて欲しい。政治から…」
小野田がそう言うと、秘書たちは小さな声ではいと返事をする。
「先進国首脳会議G7の国は、珠代くん」
小野田は珠代を見つめる。
珠代ははいと返事をして答えていく。
「日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、…」
と、そこまで口にしてから視線を下げて、黙り込む。
「響子くん」
「はい…」
響子も答えられない。
「室長は」
倫子はイタリアと答えるが、残りの一か国が想い出せない。
「萌美くんは」
小野田は一流商社の元社員で秘書検定準一級の資格を持っている萌美を最後に指名する。
「カナダです」
萌美は即座に答える。
小野田はここで萌美を褒めたいところだが、そうはいかない事情がある。担当している京葉電鉄の開発部長の五島輝彦の愛人になっている噂があるからだ。
秘書として最も心得ておきたいのは顧客先の幹部に愛人に誘われることだ。男としては仕事で口説き落とすよりも、金を握らせて愛人にした方がいつでも好きなように抱ける。
請負側としては担当の秘書を愛人にされると工事が会社まで下りてこなくなるから絶対に避けたいところだ。ところがその愛人に萌美がなっているらしいのだ。
小野田は萌美が答えたところで、他の学科を数問、出題してから社長室での個人面談にした。
nasu2021 at 16:36|Permalink│Comments(0)
秘書の査定2(2)
社長室にも応接間が設けられている。小さなテーブルを挟んで一人用のソファーが置かれているだけで秘書と内密な事をするには丁度良い。
面談のトップを指名された萌美は厨房で珈琲を淹れながら小野田にどのような態度をとるか思案していた。
秘書の人員を減らすという。
わたしはまだ若いから人員には含まれないと思うが、もし愛人がばれていたらどうするか…。総務への左遷を受け入れるか、それとも泣きついてお詫びするか。中古マンションから憧れの新築タワマンに転居できたのに。
いまさら…いや!
ともかく萌美は淹れた珈琲を盆に載せて社長室へとハイヒールの踵を返した。そして、秘書室との境にある観葉植物の植え込みから身体を一歩、社長室へと踏み出してご挨拶をした。
「よろしくお願いします」
萌美は深々と頭を下げてお辞儀をした。
小野田は黙って社長席から腰を上げると応接間のソファーに座り直し、
「こちらに」
と、萌美に正面のソファーを手で示した。
萌美は慇懃に応接間の方にヒールを進めてソアァーに腰を下ろす。意識してスカートの裾をできるかぎり腰までずりあがらせる。
そして脚と奥までを小野田の目に披露した。淡い黒のサスペンダータイプのパンストを穿いた自信のある美脚。そのパンストの刳り抜かれたクロッチの部分からマチ無しのパンティーが女の形を映して社長の目に見えているはず…。
さらにはブラウスのボタンを一段、外しているのでGからHになったカップのブラジャーで寄せられた乳房が深い谷間を造っている。
…うちの秘書をこんなに磨きおって電鉄の奴。
小野田は萌美の艶に嫉妬し、しばらく彼女を見つめてから切り出した。
「京葉電鉄の開発部長の愛人になったのか。どうなんだ」と。
萌美の顔色が変わる。
…この際、嘘はつかないほうが。
「申し訳ございません」
萌美はそう言って視線を下げた。
あっさりと罪を認めてきたので小野田も言葉が無かった。だからといって見過ごすわけにもいかない。
「相手は妻帯者だ。そのうち捨てられる。どうする。秘書も解雇されて高給も無くなる。普通のOLの給与で我慢できるか。できないだろうが!」
小野田は言葉柔らかく説教していたが、最後の方は声を荒げた。
萌美の顔色が変わった。左遷ではなく解雇と小野田は宣告してきたのだ。
「…そんな」
萌美は唇を震わせた。
「そんな堕落した生活をしていると、街で悪い男に掴まってアダルトの女にされてしまうぞ!」
小野田の声は秘書たちの耳にも聴こえているらしく、忙しなくヒールの靴音がするとガチャッと社長・秘書室のドアが施錠される音がした。
萌美が啜り泣きだした。
小野田は責めたてる。
「萌美くんは五百人を超える応募者から選抜された女だ。なぜ、そんな安売りをする。俺や秘書たちに対するに裏切りでもあるのだぞ。なぜ、それがわからんのか!」
萌美の泣き声が大きくなる。
「席に戻れ!首にしてやる!」
小野田は極め付けの言葉を投げつけた。美女いじめの昂奮を抑えることができなくなっていた。
面談のトップを指名された萌美は厨房で珈琲を淹れながら小野田にどのような態度をとるか思案していた。
秘書の人員を減らすという。
わたしはまだ若いから人員には含まれないと思うが、もし愛人がばれていたらどうするか…。総務への左遷を受け入れるか、それとも泣きついてお詫びするか。中古マンションから憧れの新築タワマンに転居できたのに。
いまさら…いや!
ともかく萌美は淹れた珈琲を盆に載せて社長室へとハイヒールの踵を返した。そして、秘書室との境にある観葉植物の植え込みから身体を一歩、社長室へと踏み出してご挨拶をした。
「よろしくお願いします」
萌美は深々と頭を下げてお辞儀をした。
小野田は黙って社長席から腰を上げると応接間のソファーに座り直し、
「こちらに」
と、萌美に正面のソファーを手で示した。
萌美は慇懃に応接間の方にヒールを進めてソアァーに腰を下ろす。意識してスカートの裾をできるかぎり腰までずりあがらせる。
そして脚と奥までを小野田の目に披露した。淡い黒のサスペンダータイプのパンストを穿いた自信のある美脚。そのパンストの刳り抜かれたクロッチの部分からマチ無しのパンティーが女の形を映して社長の目に見えているはず…。
さらにはブラウスのボタンを一段、外しているのでGからHになったカップのブラジャーで寄せられた乳房が深い谷間を造っている。
…うちの秘書をこんなに磨きおって電鉄の奴。
小野田は萌美の艶に嫉妬し、しばらく彼女を見つめてから切り出した。
「京葉電鉄の開発部長の愛人になったのか。どうなんだ」と。
萌美の顔色が変わる。
…この際、嘘はつかないほうが。
「申し訳ございません」
萌美はそう言って視線を下げた。
あっさりと罪を認めてきたので小野田も言葉が無かった。だからといって見過ごすわけにもいかない。
「相手は妻帯者だ。そのうち捨てられる。どうする。秘書も解雇されて高給も無くなる。普通のOLの給与で我慢できるか。できないだろうが!」
小野田は言葉柔らかく説教していたが、最後の方は声を荒げた。
萌美の顔色が変わった。左遷ではなく解雇と小野田は宣告してきたのだ。
「…そんな」
萌美は唇を震わせた。
「そんな堕落した生活をしていると、街で悪い男に掴まってアダルトの女にされてしまうぞ!」
小野田の声は秘書たちの耳にも聴こえているらしく、忙しなくヒールの靴音がするとガチャッと社長・秘書室のドアが施錠される音がした。
萌美が啜り泣きだした。
小野田は責めたてる。
「萌美くんは五百人を超える応募者から選抜された女だ。なぜ、そんな安売りをする。俺や秘書たちに対するに裏切りでもあるのだぞ。なぜ、それがわからんのか!」
萌美の泣き声が大きくなる。
「席に戻れ!首にしてやる!」
小野田は極め付けの言葉を投げつけた。美女いじめの昂奮を抑えることができなくなっていた。
nasu2021 at 16:39|Permalink│Comments(0)